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  • 執筆者の写真篠崎 聡

番外編:エフェクチュエーション都市という未来 2022.3.13

「第9回 フォルケホイスコーレを設計する」で「エフェクチュエーション = 天命追求型の生き方」について話をしました。


このエフェクチュエーションという行動様式を、実証学的に導き出した、サラス・サラスバシー先生を招いてのシンポジウムが開催されました。


プロジェクトメンバー4人とも、参加しました。


9:05~9:45 基調講演

 テーマ「京都をエフェクチュエーション都市にするには?」:

  サラス・サラスバシー教授


冒頭は、サラスバシー先生の基調講演です。

不確実性の高い領域で、高いコントロールを持つためには、

 1)不確定性を受け入れ、実行可能なことは何かを考えて、実行する。(この実行が大事)

 2)実行の協力を得るために「Effectual ASK」をすることが大事。    協力を得たい人に対して、協力するために何が必要かを問う。 というのが、骨子でした。 メタファーを活用し、初めてエフェクチュエーションに触れた人にも、わかりやすい基調講演でした。



9:55~11:25 サラスバシー先生と三大宗教家との対話  テーマ「エフェクチュエーションと精神性(スピリット)」:

  サラス・サラスバシー教授、   松山大耕氏(臨済宗妙心寺退蔵院副住職)、

  小原克博教授(同志社大学)、   山本光世特命教授(京都大学経営管理大学院)

 サラスバシー教授と「宗教とイノベーション」の登壇者との対話を通じて、エフェクチュエーション理論と宗教的実践の共通点や、起業家的人材に求められるマインドセットについてディスカッションします。


宗教との関係性。我々が一番興味関心を持っているテーマでした。


禅とエフェクチュエーションの対比がとても響きました。

仏教には、聞思修(もんししゅう)の三慧(さんね)という言葉があるそうです。


 聞慧(もんね):学ぶ  思慧(しえ):考える  修慧(しゅうえ):実行する


普通の順番は、学び、考え、実行するのでしょう。 でも禅は、  まずやる。  そして考える。  最後にそれが何だったのか学ぶ。


という順番だそうです。


 「できる」と「わかる」は違う。

 「できる」と「やる」は違う。


禅の修行では、絶対に無理なことを課す。

制約条件の中で、できることをやる。

工夫がそこに働き、それが禅のトレーニングなのだそうです。

エフェクチュエーションが、自分の手持ちの資源で実行をすることによく似ています。


禅は気づきの宗教だそうです。

自転車も小さなステップ。この様なステップの積み重ねが人間を形成する

本人に気づかせる様なやり方を提供するのが指導者の役割。

答えを教えることはせず、自分が気づける様な手配をする。


この辺りも、天川村ホイスコーレの参考になる部分だと感じました。



11:35~12:15 パネルディスカッション  (基調講演とディスカッションを踏まえて):

  吉田満梨准教授(神戸大学)、   山田仁一郎教授(京都大学経営管理大学院)、   サラス・サラスバシー教授、   竹林一客員教授(京都大学経営管理大学院)

 竹林客員教授と起業家研究の研究者2人でサラスバシー教授の講演と対話セッションの論点を解きほぐし、事業デザイン論から生まれた事業の紹介や、企業における新規事業創出の課題、地域における起業家育成といったテーマでバネルセッションを行います。


以下の2つの質問を軸に、意見交換がなされました。 質問1:

 人が予測しない偶然を拒絶することなく、新しい発見の機会として利用する気持ちを持つには?

質問2:  人がこれまで関連しなかった事象を結びつけて、新しい結合の可能性を見出すにはどうすれば良い?


質問1に関しては、

 1)気づきを得ないといけないので、予想外は大歓迎と思うこと

 2)自分の状態。困っていて、助けを求めているときこそ、気づきを得やすい。

の回答が響きました。


質問2に関しては、枯山水が生まれた経緯を話していただきました。

山水を大事にするのが禅であるが、ここは水を引くことが難しい場所だそうです。

水がない中で、山水を表現したのが枯山水。

水はないけど、材料はある。手持ちの資源で実現したもの。

水は白い石でなければならない。これは夜の月光を反射する明かり取りであり、実用的である。

これがあいまって、500年続く庭ができている。

日本は時間軸が長い。長く愛されて初めて素晴らしいクリエイティビティと認められる。

との事でした。

茶室も、そこにあるものを上手く利用するという精神だそうです。

この精神は、天川村ホイスコーレでもとても大事だと感じました。


とても盛りだくさんの内容で、ここでは書ききれませんが、ここで得た気づきを、天川村ホイスコーレに活かしたいと思いました。

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